研究概要 |
本年度はアクセプター性ポリマーとしてニトロ基含量の異なるニトロ化ポリスチレン(NPS)を用いこの溶液中でドナー性の6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン環を含む屈曲性ポリチオエーテル(PTX)を二層系重縮合法により合成し、得られた複合材料中でのニトロ化ポリスチレン(NPS)の分散性とその力学的特性との関係をブレンド法で得られた複合材料と比較検討し次の結果を得た。 (1)6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールとα,α'-ジブロモ-p-キシレンあるいは1,12-ジブロモドデカンを相間移動触媒を用いて二層系重縮合して、マトリックスポリマーである高分子量のトリアジン含有ポリチオエーテル(PTX)あるいは(PTDD)をそれぞれ合成した。 (2)ニトロ化率の異なるNPSとPTXあるいはPTDDとをクロロホルム中でブレンドし、得られた(PTX/NPS)複合材料はμオーダーで相溶しているが、(PTDD/NPS)複合材料は半相溶性複合材料であることが確認された。また、ポリスチレンでは相分離が起こりやすいが、ニトロ化率が高くなると電荷移動相互作用により、相溶性が向上することが分かった。 (3)(PTX/NPS)系複合材料、(PTDD/NPS)系複合材料のいずれの場合もNPSによる補強効果が認められたが、(PTDD/NPS)系複合材料についてはさらに詳細な検討が必要である。 (4)この複合材料系ではIn-situ法とブレンド法とで得られた複合材料の引張強度にほとんど差が見られなかった。さらに(PTDD/NPS)系複合材料では最適条件の検討が必要である。
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