ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の濃厚水溶液に無機塩が共存する液晶系の構造と、外部電場の印加に伴う光学的応答挙動(エレクトロクロミック挙動)について検討し、以下のような新知見が得られた。 1.HPC/塩水系の構造について コレステリックピッチ並びにLCST相分離温度の共存塩依存性は、塩を構成するカチオンとアニオンのそれぞれが示すカオトロピック効果の加成則を仮定して説明できる。塩水溶媒に対する^<17>ONMR測定から、水分子のクラスター形成能が添加塩種に依存して変化することが示され、カオトロピックイオン効果の序列に対応した結果が得られた。 2.エレクトロクロミック現象について テフロン板と白金電極をスペーサーにして、透明ガラス板間に選択光反射を示すHPC/塩水系コレステリック液晶を封じ込み、電圧印加に伴う呈色並びに透明度の経時変化を観測した。約3V/cmの電界印加によって、負極側に向かって短波長色への呈色移動が起こること(例.HPC/Lil/水系)、また、強い水構造形成子であるカチオンが共存する場合には、試料の負極側で曇点の低下が起こり白濁不透明化し易いこと(例.HPC/KI/水系)、等がわかった。
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