| 研究概要 |
超音速機が洋上に飛行した場合や、衝撃波が水面上を伝播して行く。その際に誘起される圧力場は、音速の違いにより気相と水相で大きく異なった伝播特性を示す。このような現象は水中での圧力環境や保安の観点から解明が必要とされるだけではなく、他相媒質中の衝撃波伝播として流体力学上、重要な問題である。本年度は、水面上空気中を伝播する衝撃波によって水中に誘起される圧力場に関する実験を行い、その基本特性に関するデータを得るとともに、現象の数値シミュレーション法の開発を進めた。
1.衝撃波管実験装置の作成と動作特性の確認:衝撃波を発生させる装置として、再現性に優れかつ、破膜が飛散して流れを乱す事のない高速駆動ピストンを持つ無隔膜型衝撃波管を作成した。試験運転の結果、圧力の立ち上がりの鋭い良好な衝撃波が作られているのを確認した。
2.水面/気中衝撃波干渉の実験:測定部に水槽を取り付け、その底面の圧力変動を測定する事で水面上伝播衝撃波に誘起される水中圧力場の測定を行った。その結果、(1)空気側衝撃波の伝播に対する水面の存在の影響は小さい事、(2)水側では先行波・主波・後流波が観測されその特性が明らかにされた事、(3)先行波は水の音速で伝播し、その周期は水深に依存する事、(4)気相衝撃波通過後、水側では周期・振幅ともに大規模な圧力変動が観測される事、(5)水面の変形は気中衝撃波通過よりはるかに遅れるため通過直後の水中圧力の大変動には関係がない事、が明らかにされた。
3.Navier-Stokes方程式を用いた数値シミュレーション法の開発:昨年度開発した非活性オイラーコードを改良し粘性の影響を考慮した。上記(1),(2),(3),(5)は再現され、水面上の境界層に関する結果が得られたが、(4)については粘性を考慮しても説明する事ができなかった。今後は、(4)の原因の解明とそのモデル化が課題となる。
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