【平成8年度】 (1)誤差計測システムの開発:海上におけるロランCの測位精度を評価するためには、誤差を求めるための基準となるGPS位置の計測が必要となる。8年度は、この計測上の問題を解決するための、ロランCとDGPSの同時計測システムを開発した。 (2)局地誤差の特徴と原因調査:この計測システムを利用して、沿岸海域で局地的誤差が予想される相模湾を選択して海上観測を実施した。ここでのLOP(双曲線)歪みの特徴を詳細に調査し、誤差要因が二次位相係数(SF)あるいは付加的二次位相係数(ASF)によることを明らかにした。 【平成9年度】 (1)伊豆大島に起因するASFの見積もり:伊豆大島周辺海域から地表波の島上伝搬により最大1μsもの極めて大きなASFが生じていることがわかった。また、ASFは、伝搬経路上の標高や陸地の傾斜度と正の相関が高いことも判明した。 ディファレンシャルロランCの試み:ロランCは、狭い地域の範囲内であれば、各局からの電波伝搬経路がほぼ等しく、ディファレンシャルロランC基準局と準備局近くの移動局で計測された局地的なLOP誤差に共通誤差成分が多く含まれているために、ディファレンシャル補正の効果が期待できる。そこで、ロランCの絶対測位精度の向上を計る一つの補正法として、ディファレンシャルを房総半島先端の館山湾で試み、その効果を調査した結果、当初あった誤差が、1/10から1/20まで低減され、ディファレンシャルが測位精度改善に有効であることが明らかになった。
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