研究課題/領域番号 |
08651094
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大沢 直樹 大阪大学, 工学部, 助手 (90252585)
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研究分担者 |
橋本 聖史 大阪大学, 工学部, 助手 (50183554)
船木 俊彦 大阪大学, 工学部, 教授 (90029174)
冨田 康光 大阪大学, 工学部, 教授 (30029251)
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キーワード | 繰返し塑性 / 結晶塑性 / 疲労強度 / 有限要素法 |
研究概要 |
1.船体構造用アルミニウム合金等では、繰返し硬化飽和後は大応力域を除いて巨視的塑性変形が消失して、応力歪応答から疲労強度を推定できない。しかし、繰返し硬化飽和後に応力振幅を増大させたときの一時的な巨視的塑性歪の発生(strain burst)は生じる。strain burstは塑性変形の局在化の一因となり、き裂発生に関係すると考えられる。本年度は、上記の性質を有するアルミニウム合金A5083P-Oについて、荷重条件とstrain burstによる塑性歪Δε^Pの発生量の関係を実験的に調査した。その結果、 (1)Δε^Pは荷重増大前の応力振幅にはあまり依存せず、応力増大量に強く依存する。 (2)応力振幅増大前の負荷回数N_0が多いほどΔε^Pは減少し、一定値に収れんする。収れんに要する負荷回数は、繰返し硬化の飽和に要する負荷回数の数倍以上になる。 ことがわかった。 2.結晶すべりの支配方程式に背応力を導入して、Peirce-Asaro-Needlemanの結晶塑性有限要素法計算コードを繰返し塑性変形を解析できるよう拡張した。そして、すべり系が背応力として作用する転位の長範囲応力場のみで硬化すると設定して、面心立方単結晶体の繰返し塑性変形挙動を解析した。その結果、 (1)ある負荷サイクルまで、荷重変位曲線は原点について対称な定常ヒステリシスループを描く。局所応力、局所歪は毎サイクル同じ分布の変化を繰り返し、可逆的すべりのみ生じる。 (2)(1)の後、ある負荷サイクルで荷重変位曲線が定常ループから逸脱する。その後、局所塑性歪の局在化が亢進し、非可逆的すべりが発生する。 (3)局所的な格子回転が生じると、geometrical softeningによって塑性歪の局在化、非可逆すべりの発生をもたらす変形モードを生じる。これは疲労き裂の発生源となる残存すべり帯、intrusionの形成機構のひとつと考えられる。 ことがわかった。
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