本研究は、構造を有する材料の破壊挙動をより包括的に扱えるメソスケールの計算力学的手法の構築を目的とした。すなわち、計算不連続体力学モデルによる多結晶脆性固体の二次元メソ解析アルゴリズムを、繊維、粒子(特別な場合としてボイド)などを含む多相材料に適用し、それらが構成方程式、破壊強度などに及ぼす影響を定性的、定量的に把握するとともに、その結果に基づいて均質化法、損傷力学などのマクロなモデル化を評価、改良することを試みた。特に、海洋構造用新素材としての期待度から、セラミックス、コンクリートなどを母材とする複合材料のモデル化に重点を置いた。 具体的には以下の項目を実施した。(1)構造を有する材料の一例として、マイクロインクルージョン(特別な場合として、マイクロボイドも含む)を含むマイクロクラッキング脆性固体の二次元メソ解析アルゴリズムを構成した。この際、マイクロインクルージョンの割れも考慮した。(2)構造を有する材料の一例として、繊維を含む脆性材料の二次元メソ解析アルゴリズムを構成した。(3)マイクロインクルージョンあるいは繊維を含む脆性固体がマイクロクラック損傷を伴う場合のマイクロ弾性定数計算を行なった。(4)マイクロインクルージョンあるいは繊維を含む脆性固体の損傷発展に関する非定常計算を行なった。(5)マイクロインクルージョンを含む脆性固体のR曲線(亀裂進展抵抗曲線)挙動を計算し、メソスケールの構造と破壊靱性の関連について考察した。この際、マイクロインクルージョンの変態塑性を考慮した。
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