本年度は解析プログラムの研究を中心に行い、地下多相流動の3次元逆解析アルゴリズムの構築、及び圧力時間変化率を利用したハイドロパルストモグラフィー法による数値逆解析計算の高速化技術の開発を行った。 圧力変化率を利用した逆解析法は、最適制御理論を適用した従来の逆解析法の拡張であり、従来手法より確実に高速化することができる新しい画期的な方法である。圧力変化率を利用した逆解析法を検証するために、1次元モデルおよび2次元モデルを用いた数値実験を行い、数値逆解析で必要とする順解析反復計算回数を減少させることに成功した。開発した逆解析では、反復1回に要する計算時間は従来の逆解析法と同程度(101%以下)であるため、確実に従来手法を超えた手法と言える。しかし、実用性を考慮すると、逆解析全体の計算速度の大幅な効率化はいまだ達成しておらず、多様な重みづけの検討あるいは計測法の検討をさらに行うことによりこれが実現できることが期待され、今後も継続して数値実験を行っていく予定である。(詳細な数値実験結果については未発表である。) 3次元多相流動逆解析について、気液2相流動の逆解析アルゴリズムの開発を行った(現在未公表)。今後、上記の圧力変化率を考慮した逆解析に拡張する予定である。 地質・水理モデルの検討として、不均質水理地質構造をもつ斜面における地下水脈状流動のモデル化についての検討を行っている(未公表、継続中)。 室内実験については、実験方法の概要が決定し、装置の設計を行っている。
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