本研究では、平成8年度に引き続いて、溝付きボアホールを装薬孔またはガイドホールに使用したき裂制御爆破工法に関するモデル実験を行い、以下の成果を得た。 (1)溝付きボアホールと応力波の干渉による動ひずみの測定 溝付きボアホールのガイドホールとしての有効性を検証するために、溝付きボアホール周囲にひずみゲージを接着して、応力波との干渉によって生じる動ひずみの履歴を測定した。溝付きボアホールの溝部分の先端に応力波の伝ぱ方向に直交する方向に大きな引張ひずみが両端にほぼ同時に生じ、自由面側へもき裂進展が生じることが明らかになった。 (2)高速度ビデオカメラによるき裂進展挙動の観察 アクリル板を使用して、溝付きボアホールによって生じるき裂進展挙動を観察し、溝部分の両端から、互いに逆向きにき裂が予定破断面にそって伝ぱすることを明らかにした。また、速度ゲージ回路を試作し、それを用いてき裂進展速度を計測した。その速度は約1000m/s程度である。 (3)二段階時間制御超爆法の有効性に関する実験 溝付きボアホールをガイドホールに使用して、予定破断面にそったき裂面を形成して後、残す側に損傷を生じさせることなく、破壊する側を爆破する時間制御起爆実験を行い、その有効性を確認した。
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