爆破き裂制御を行うために、新しい着想として溝付きボアホールをガイドホールとして使用する方法を提案し、レーザーシャドウグラフ法による可視化観察や高速度ビデオ装置を用いた高速度撮影を適用して、その有効牲を検証するための爆破モデル実験を行った。実験結果から、以下の研究成果を得た。 (1)円孔ボアホールと干渉する応力波の可視化観察から、入射応力波と反射応力波の挙動だけでなく、円孔壁面の内側への変位によって、円孔内部の空気中に衝撃波が発生することが明らかになった。 (2)切り欠きを有する円孔(溝付きボアホール)と応力波の干渉によって、切り欠き先端部に応力集中を示すシャドウスポットが生じ、き裂が円孔の切り欠き先端から自由面へ向かって進展するメカニズムを作り出すことが明らかになった。 (3)高速度ビデオ画像から、き裂進展が円孔で停止するのに対し、切り欠きを有する円孔では、切り欠き先端から自由面側へ、き裂進展が生じ、切り欠き先端位置を予定破断面方向へ一致させることによって、き裂の進展方向を制御出来ることが確認された。また、円孔周囲にひずみゲージを接着して動ひずみ履歴を測定した結果、切り欠きの両先端に応力波の伝ぱ方向に直交する方向に大きな引張ひずみがほぼ同時に生じ、これによって、き裂進展が生じることが明らかになった。 (4)爆破後のき裂形成状態からも、切り欠きを有する円孔(溝付きボアホール)は特定の方向へき裂を進展させるためのガイドホールとして有効であることが確認された。 (5)溝付きボアホールをガイドホールに使用して、予定破断面にそったき裂面を形成した後、残す側に損傷を生じさせることなしに、破壊する側を爆破する二段階時間制御起爆法の有効牲をモデル実験によって明らかにした。
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