研究概要 |
本研究では、数種の園芸植物を野生型のAgrobacterium rhizogenesによって形質転換し、その結果として得られた毛状根を対象に、種々の細胞工学的な操作による育種の可能性について検討し、以下の結果を得た。 1. Nierembergia scoparia、N.repens、lpomoea trichocarpa,キンギョソウ,ブドウなどの葉片に野生型のA.rhizogenesを接種し、毛状根を得るとともに、毛状根からの植物体再生系を確立した。 2. Nierembergia scopariaの毛状根の根端部に対し、GUSおよびカナマイシン耐性遺伝子を持つA.tumefaciensの数系統を接種した。GUS遺伝子を発現しカナマイシン耐性を有する毛状根を選抜し、この毛状根から形質転換植物体を再生した。 3. 毛状根の根端分裂組織に対し、種々の細胞分裂同調化処理を行い、リン酸飢餓、ヒドロキシウレア、コルヒナンの3つの処理を併用することにより、分裂組織で最大30%の同調化が可能となった。 4. 同調化処理した根端をプロトブラスト化して染色体の単離を試みたが、染色体の崩壊がひどく、かつ純化が困難であり、十分な単離ができなかった。 5. コルヒチンの処理時間と濃度を検討することにより、効率よく毛状根から4倍体植物が得られることを示した。 6. 以上の結果から、毛状根を含む根の培養物は、遺伝子導入を行う上で、有用な材料であることが示された。
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