研究概要 |
1.遺伝子のマッピング 本研究では,イネ葉緑体リボソームタンパク質遺伝子rpl9,rpl12-1,rpl12-2,rpl13,rpl15,rpl21,rpl24,rpl28,rps1,rps9,rps17のcDNAクローンを単離し,塩基配列を決定した. これらのcDNAをプローブとしてRFLPマッピングをおこなったところ,rpl9,rpl12-1,rpl12-2,rpl13,rpl24,rpl21,rps9のプローブを用いた場合にイネ品種“日本晴"と“Kathalas"の間で多型が認められ,染色体上の位置が決定された.その結果,これらの遺伝子が,イネの核ゲノム上でクラスターを構成することなく,散在していることが明らかとなった.また,これらのcDNAを用いてオオムギ染色体上での位置を現在決定中である. 2.発現解析 rpl12-1,rpl12-2,rpl13,rpl24について,イネの発芽初期における発現を,ノーザンハイブリダイゼーションを用いて解析した.その結果,葉においては,発芽初期(吸水後4日目)までは,mRNA量の蓄積が認められず,吸水後10日目まで増加した.葉緑体ゲノムにコードされたリボソームタンパク質遺伝子についても,同様の発現パターンが認められた.根においては,これらの遺伝子はほとんど発現していないことがわかった. rpl13およびrpl24についてはゲノミッククローンを単離し,転写開始点を決定した.その結果,これらの遺伝子は複雑の箇所から転写が始まっていることがわかった.さらに,これら複数の転写開始点は,器官特異的に使い分けられている可能性が示された.
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