平成8年度において、下記の通りの実験を実施した。 1.栽培種のトマトにおける維管束走向に照らし合わせて光合成産物の転流経路を調べた。 2.その結果、^<14>C-光合成産物の転流経路は維管束走向に従って、^<14>CO_2施与葉からまず初めに直下節間に転流した後、それから上下の節間に向かって転流することが明らかになった。 3.上下方向への転流は、茎の中で^<14>CO_2施与後の経過時間が短いと^<14>CO_2施与葉と同じ側の維管束を経由していたが、^<14>CO_2施与後の経過時間が長くなると反対側の維管束内も経由していた。 4.^<14>CO_2施与葉から上位方向への転流割合(分配)はキュウリなどのウリ科野菜と比べて大きかった。 5.次いで、^<14>C-光合成産物の転流経路に従って維管束部分を採取した。 6.採取した維管束部分についてアルコール可溶性糖を抽出し、抽出液をラジオ液体クロマトグラフィーにかけて^<14>C-糖を分画した。 7.同様の方法で組織内の糖の化学組成を分析した。 8.現在、糖の化学組成と^<14>C-糖組成を比較し、転流経路にしたがった各維管束部分の転流糖について解析中である。
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