ブロッコリーを発砲スチロール容器に入れて氷冷却すると長期間鮮度を保持でき、この方法は予冷の施設費が安価なため経済的にも優れた予冷方法である。そこで、この方式に適する青果物を明らかにするとともに、発砲スチロール容器に入れた氷の保持期間を外気温を変えて調査した。 ブロッコリーを氷冷却で輸送するために開発された発砲スチロール容器を用いて、市場流通に近い状態で成果物を入れずに氷冷却時の容器内の温度変化を測定して、熱量解析を行った。その結果、気温と氷の保持時間について、一定の傾向を見出した。 ダイコンを用いて、5、15、25°Cの恒温室での氷の量と温度低下、熱容量及び発砲スチロールの断熱材との関係を理論解析した結果、計算値と実測値とはほぼ一致した。 ナス、ホウレンソウ、キュウリ、チンゲンサイを発泡スチロールの容器に入れ、氷を青果物の上下に置き、外気温(恒温室で15、25°Cの2段階に設定)と氷の位置との関係、青果物の鮮度を分析した。その結果、氷の置く位置によって、青果物の温度が変化することがわかり、また、青果物の冷却速度は外気温とともに氷の位置によっても異なった。 冷水冷却を中心に、空気冷却、真空冷却を対照に、ダイコン、ブロッコリー、ホウレンソウを用いて予冷後の鮮度を調査した。ダイコンでは重量損失と、色の変化から、冷水冷却が最適であった。ブロッコリーは冷水冷却区は重量損失が小さく色の変化が大きく、真空冷却区は重量損失が大きく色の変化が小さかった。ホウレンソウは冷水冷却区が重量損失が少なく最も良かった。 我が国で最初に冷水冷却の施設ができた倉橋島共選場(広島県倉橋町)で枝豆の予冷中の温度を測定し、さらに輸送中の温度変化と枝豆の鮮度を調査し、冷水冷却の効果を確認した。
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