1.10月中旬に200ppm以上の濃度のエセフォン処理によりキウイフルーツ果実の樹上成熟が誘起されることが明らかとなったので、成熟促進効果が最も優れた500ppm(50%エタノール溶液)を処理濃度として樹上成熟に及ぼす影響を調査した。その結果、成熟関連形質の糖度、果肉硬度および滴定酸含量は処理約2週後には可食の値になったが、成熟程度にも個体差も見られた。なお、処理10日目から落果し始めた。これらの結果から、10月中旬のエセフォン処理による樹上成熟が再現されたが、高濃度処理でも成熟促進の個体差を解消するには至らなかった。一方、軟化および落果防止のため、エセフォンと各種植物生長調節剤との混用処理を行った結果、いずれの薬剤によっても軟化は抑制されなかったが、GA_3との混用処理により落果が遅延される可能性が示唆された。 2.エセフォン処理によるキウイフルーツ果実の樹上成熟の作用機構を明らかにするため、成熟に関連する内生成分を調査した。その結果、無処理果ではACC含量は徐々に減少する傾向を示したが、EFE活性およびエチレン発生はみられなかった。エセフォン処理果ではACC含量は処理後2日後までは急速に、その後は徐々に減少した。EFE活性は処理後高まり、2週間後以降は急速に上昇した。エチレン発生量は処理2日後にピークを示し、その後一旦減少したが、6日後以降再び増加した。一方、ABA含量は無処理果ではほぼ一定の値で推移したが、エセフォン処理果では処理後ほぼ一定の割合で減少した。これらの結果から、エセフォン処理によるキウイフルーツ果実の樹上成熟は、エセフォンから発生したエチレンが引き金となり、内生エチレン合成が開始され、自己触媒的なエチレン合成が誘導されたことに起因すると推察された。また、ABAは成熟を抑制している可能性があることが示唆された。
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