研究概要 |
トマト固定品種‘ファースト'の乾燥種子に総線両100,200および400Gyのガンマー線を照射して突然変異の誘発を試みた.照射時間はいずれも5時間とした. 1.照射線量が高くなるほど実生の生育は劣り400Gyでは子葉展開後枯死した.100Gyの188系統で3種類,200Gyの88系統では9種類の突然変異が出現した.これら突然変異のうち,雄性不稔は雄ずい変異型から3種類に分類できた.つまり,オリジナルと同じ雄ずい型(T-1),やくが萎縮して褐色となり,柱頭が突出する型(T-2),やくは正常に発育し,そのやく胞の先端に柱頭が突出する型(T-3)の3タイプである.この試験から,多くの突然変異を誘発するためには200Gy付近の線量が適当であると推察された. 2.上記3タイプの雄性不稔花における花粉崩壊のステージは,T-1が小胞子期,T-2が減数分裂から四分子期,T-3が四分子形成中〜その直後であるった. いずれのタイプもM2世代,M3世代において可稔:不稔の分離比は3:1に適合し,不稔株にヘテロを交配した集団での分離比が期待値1:1に適合したことから,雄性不稔は単一の劣性遺伝子によって支配されているものと推察された. 3.多くのM2株の自殖実験から,着果しえない株を見つけ,この花粉を調査したところアセトカ-ミンで正常に染色されること,ヨード液によって黒く染色されることから花粉粒におけるデンプン分解が抑制されているものと考えられた. この花粉の生理学的ならびに遺伝学的特性について現在検討中である.
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