イネ・キチナーゼ遺伝子のcDNA(RCC2)を導入したトランスジェニックキュウリ(品種:霜不知)CR32株は、灰色かび病(病原菌:Botrytis cinerea)に対して強度の抵抗性を示した。また、その自殖後代株では180株中約70%の株において抵抗性がみられ、その内の約20%の株は親株同様に強度の抵抗性を保持していた。そこで、強度抵抗性の自殖後代株を供試し、植物の各器官におけるイネ・キチナーゼの発現を解析した。ELISA法によりイネ・キチナーゼ量を測定した結果、葉ならびに茎、花、果実の各器官における活性の増強が検出された。次に、各器官の組織切片を作製してイネ・キチナーゼのFITCによる間接蛍光抗体染色を行い、Cell Scanを用いて細胞レベルの解析を試みた。その結果、各器官におけるイネ・キチナーゼの細胞内での局在が示され、その検出量はELISAの測定結果と相対値においてほぼ一致した。また、イネ・キチナーゼ遺伝子の発現量は、各器官および器官内の各組織においてそれぞれ異なり、葉肉組織で最も顕著であった。
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