本研究の目的は施設作物を加害するアブラムシ類の生物的防除素材として、日本に在来のツヤコバチ科の2種捕食寄生バチ: <Aphelinus>___- <gossypii>___-と<Aphelinus>___- sp. nr. <varipes>___-の利用を検討することである。主要な結果は次の通りである。 1.寄主選好性と適合性:防除対象として重要なワタアブラムシとモモアカアブラムシ(以下それぞれワタ、モモアカと略記)に対する選好性と適合性を、両種の京都産個体群について15L-9D、18°C(A__-.<gossypii>___-)または20°C(A__<(/)->. sp. nr. <varipes>___-)の実験室内で調べた。 (1)<Aphelinus>___- <gossypii>___-:1雌当たり30匹のアブラムシ幼虫を24時間供試したとき、平均寄生率はワタ:71、2%、モモアカ:10、6%、平均発育所要日数はワタ:18、9日、モモアカ:20、3日、マミ-化から羽化までの平均生存率はワタ:95、5%、モモアカ:37、8%であった。 (2)<Aphelinus>___- sp. nr. <varipes>___- :1雌当たり20匹の幼虫を3時間供試したとき、平均産卵数はワタ:9、9個、モモアカ:5、5個;1雌当たり30匹の幼虫を24時間供試したとき、平均発育所要日数はワタ:18、7日、モモアカ:19、7日、産卵からマミ-化、マミ-化から羽化までの平均生存率はそれぞれワタ:97、4%、94、5%、モモカ:67、6%、58、3%であった。 2.休眠性:休眠誘導の光周反応を、両種の京都と沖縄産個体群について18°C、6日長条件下で調べた。両種ともに沖縄産個体群は休眠性を持たないが、京都産個体群は産卵後の短日経験によって100%の個体がマミ-形成後の終齢幼虫期に休眠に入ることが分かった。両種の京都産個体群の休眠誘導の臨界日長は、ともに12時間と13時間の間であった。 [今後の予定]両種捕食寄生バチの温度と発育の関係、増殖率ならびに寄主体液摂取能力については目下実験中である。今後、飼育が比較的容易なマメアブラムシを用いて両種の大量増殖法および休眠性を生かした中.長期的保存法を検討する予定である。
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