研究概要 |
植物キチナーゼの構造と機能との相関を明らかにする目的で,二条オオムギからのクラスIIキチナーゼの精製を試みた.精製は申請者が確立した4級アンモニウムイオン系界面活性剤法を用いて行った.すなわち,植物抽出液を界面活性剤処理し,多糖成分を除去した後イオン交換法,ゲル濾過法,アフィニティークロマトグラフィー等を組み合わせて精製を行った.その結果,100gの試料より7.2mgの塩基性キチナーゼを精製した.精製したキチナーゼは電気泳動的に均一で,その分子量は25kDaと計算された.したがってクラスIIキチナーゼを推定された.また,主要作物でありながら高蛋白含量のためキチナーゼの分離が難しいダイズについても分離,精製を試みた.ダイズは多量の貯蔵タンパク質,グリシニンを含むため,精製はタンパク質分解酵素阻害剤存在下で塩化カルシウム処理,CPC処理,イオン交換法,アフィニティークロマトグラフィーおよびHPLCを組み合わせて行った.その結果300gの試料より1.7mgの酸性キチナーゼを精製した.得られたキチナーゼは分子量測定の結果27kDaと計算された.さらに得られた両キチナーゼは還元カルボキシメチル化した後,アミノ酸組成分析を行いそのアミノ酸組成を他のキチナーゼと比較した。その結果,オオムギキチナーゼはクラスIIと,ダイズキチナーゼはクラスIIIと類似した組成を示した.
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