研究概要 |
1.1998年度研究実績 褐色森林土における試験結果 処理前の土壌pHが4.4の褐色森林土において試験を行った.当ほ場は前年度までジャガイモそうか病の発生が認められた場所である.処理区は3要素全量を作条に施用する対照区とリン酸とカリウムを全面に施用し,窒素肥料の硫安のみ作条に施用する対策区をもうけた.どちらの施用区も着蓄期にはpH4.0まで低下し,水溶性アルミニウムも0.4mg L^<-1>以上となったが,その後のpHの回復は対照区で早く,塊茎肥大期の7月中旬には処理前に戻る傾向を示した.これに対して対策区は収穫期近くまで低pHを持続した.発病度は全体にpHが低かったことを反映して,対照区で8.3,対策区で2.3といずれも低い値を示した.2.3年間の研究によって得られた知見 土壌病害であるジャガイモそうか病の多発は農家経済に大きな打撃を与えているが,農薬の使用規制の強化と生産物の高品質を要求の強まる中にあって早急な対策が求められている本研究においてとられた対策法は農薬を使わず,同じ肥料をその使い方のみで一時的に土壌pHを低く抑え,土壌のアルミニウム活性を高めて抑制する方法である.発病度が10以下では実質的に問題が無く,一部の多発土壌を除けばここに提案した方法で本病の抑制は実用的な方法として可能になった.試験を実施した農家ではその特徴をつかみ,すでに自分の経営に取り入れている.また,この方法は土壌の悪化を招かないので輪作体体系にも取り入れ可能である.アロフェン含有率の高い火山灰土壌では土壌pHの低下が困難で,本法では十分な成果を得られなかった.これについては他の方法と組み合わせた対策をとる必要があろう.
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