本研究は、種々な土壌型に関する立地関係の情報の収集、特に消滅の危機にある低地の土壌型に関する情報の収集、つまりレッドデータブックの作成。土壌モノリスの作成に関する情報の収集、消滅の危機にある土壌を中心に各種の土壌型の土壌モノリスの収集。展示技術を収集し展示の可能性をさぐること。以上の基礎的面の研究を目的とする。 今年度は各種の土壌型が置かれている状況の情報を集めるために、ペドロジスト学会会員、大学および農水省や県の農業・林業の試験場等の土壌担当者など約800カ所にアンケートを送った。その結果、144種の消滅の危機におかれている土壌に対する情報が集まった。これらの粗データを、データベース化した(新規購入のパソコンを使用)。これらの情報は、ペドロジスト懇談会編の土壌分類、林野土壌分類、農耕地土壌分類それに昔ながらの土壌型など様々な段階と種類が混ざり、その地点や消滅危惧の理由も様々である。 沖縄県から報告のあった消滅の危機にある土壌で、島尻マージ(泥灰岩を母材とした塩基性埴質未熟土)、フェイチシャ(表層グライ化赤・黄色土)の消滅危惧の現状調査と断面モノリスの採取それにに採取法の検討を行った。その結果、断面モノリスの採取には固化剤のトマックNS10と不織布の組合わせが最も適していることが分かった。その結果を踏まえて、さらに熊本県阿蘇外輪山の厚層多腐植質黒ボク土(含姶良パミス)の断面モノリスの採取と消滅危惧の現状調査を行った。それと同時に微細形態用および理化学分析用試料の採取も行った(調査旅費)。 来年度は、上記の諸問題に検討を加えて、必要なら再度アンケートを発送し、各種のデータに整合性を与え整理し、消滅危惧土壌を中心とするデータベースを完成させる。また、現地調査と断面モノリスの採取を行う予定である。
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