(1)酸素作用の解析 グルコアミラーゼとイソアミラーゼの他に、生澱粉吸着・分解活性を有するα-アミラーゼを、澱粉粒に直接作用させ、粒内での生成物保持の定量的解析を行った。トウモロコシ、トウモロコシの変異種であるアミロメイズ種(70%がアミロース)とワキシ-種(アミロペクチンから構成)、ポテト、小麦、タピオカ、ショーティから、澱粉粒を分離調整した。各濃度の三酵素を各澱粉粒に作用させ、生成物の保持量と遊離量を経時的に測定した。グルコアミラーゼでは、反応の初期に約1-4割の生成物保持が認められ、反応の進行につれ、1割まで減少した。離分解性のポテト、ショーティ、トウモロコシのアミロメイズ種の粒内保持が高いことが認められた。イソアミラーゼを作用させると、反応の全般を通じて、約3-6割の生成物が保持され、分解を受けやすい澱粉粒ほど固定化量も高いことが判明した。α-アミラーゼについては約2割程度であった。 (2)反応条件による影響(疎水・親水環境と反応温度の解析) 生成物保持の著しいイソアミラーゼについて調べた。エタノールを用いて疎水環境の形成を図った。エタノール濃度の上昇とともに保持量も増し、エタノール濃度80%では生成物の全量が粒内に留まったまま、沈殿することが見い出された。次に、反応温度を変化させ、生成物保持への影響を調べた。低温領域の方が高温域よりもより、多くの生成物保持が認められた。 以上の結果から、1)長鎖の生成物が保持量が高いこと、2)疎水環境で、かつ低温の方が粒内保持を促すことから、水素結合が保持に関与すると推察された。特に、エタノールの添加効果は特筆するべきものがあり、生成物の安価かつ容易な回収に大きく寄与すると期待される。
|