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1997 年度 実績報告書

不溶性多糖類の新しい酵素的分解現象-生成物固定化の解析と利用-

研究課題

研究課題/領域番号 08660084
研究機関北海道大学

研究代表者

木村 淳夫  北海道大学, 農学部, 助教授 (90186312)

キーワード澱粉性 / 糖化酵素 / 固定化 / グルコアミラーゼ / イソアミラーゼ
研究概要

(1)膨潤デンプン粒の調製と酵素作用の解析 植物起源が異なる各種デンプンにグルコアミラーゼを利用させ、その消化性から大きく3種のものに分類できることが判明した。酵素分解の最も低いグループ(ポテト、ショーティ、アミロメイズ由来)を取り上げ、糊化開始温度で処理し、膨潤デンプン粒を調製した。内部構造の変化、すなわち、結晶領域の破壊を確認後、グルコアミラーゼとイソアミラーゼを作用させた。グルコアミラーゼでは1.5-7倍、イソアミラーゼでは2-15倍の分解率の改善が認められた。生成物保持の著しいイソアミラーゼを膨潤デンプン粒に作用させ、粒内の保持量を調べた。その結果、生成物固定化能は大きい変化を示さず、若干の低下(10-20%)が観察された。
(2)膨潤デンプン粒に対する反応条件による影響 昨年度、粒内の水素結合を強化することにより、生成物固定化能を上昇できることを見い出した。膨潤デンプン粒についても本効果を検討し、粒内への保持量の向上を図った。まず、エタノール中でイソアミラーゼを膨潤デンプン粒に作用させ、保持量を調べた。エタノール濃度の上昇とともに保持量も増し、エタノール濃度80%では生成物の全量が粒内に留まったまま、沈殿した。この際、エタノールは酵素作用を阻害せず、良好なデンプン分解が観察された。次に、反応温度を変化させ、生成物保持への影響を調べた。低温領域の方が多くの生成物保持が認められた。
以上の結果から、1)生デンプン粒の内部構造変化(糊化開始温度処理による温和な変化)は酵素分解を上昇させ、かつ、高い生成物保持量を維持すること、2)粒内の水素結合を高めることにより、保持能が向上すること、が判明し、デンプンから産業上重要なオリゴ糖が安価かつ容易に回収できることが明らかになった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] A.Kimura: "Indentification of Essential Ionizable Groups in Active Site of Aspergillus niger α-Glucosidase" Biosci.Biotech.Biochem.61・3. 475-479 (1997)

  • [文献書誌] A.Nakamura: "Cloning and Sequencing of an α-Glucosidase Gene from Aspergillus niger and Its Expression in A.nidulans" J.Biotechnol.53. 75-84 (1997)

  • [文献書誌] A.Kimura: "A Catalytic Amino Acid and Primary Structure of Active Site in Aspergillus niger α-Glucosidase" Biosci.Biotech.Biochem.61-7. 1091-1098 (1997)

  • [文献書誌] A.Kimura: "Properties and Substrate Specificity of α-Glucosidase from Aspergillus niger GRM3" Oyo Toshitsu Kagaku (J.Appl.Glycosci.). 44-3. 303-312 (1997)

  • [文献書誌] H.Matsui: "Substrate Specificity and Primary Structure of Suger Beet α-Glucosidase" Oyo Toshitsu Kagaku (J.Appl.Glycosci.). 44-2. 245-252 (1997)

  • [文献書誌] A.Kimura: "Primary Structure and Suger Chains of Crystalline α-Glucosidase from Aspergillus niger" Oyo Toshitsu Kagaku (J.Appl.Glycosci.). 44・2. 233-243 (1997)

  • [文献書誌] A.Kimura: "Structure and Catalytic Mechanism of Crystalline α-Glucosidase from Aspergillus niger" Oyo Toshitsu Kagaku (J.Appl.Glycosci.). 45-1. 71-79 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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