研究概要 |
イネ(ササニシキ)培養細胞に特異的に発現している低温性αアミラーゼの性質を支配する蛋白質構造上の領域を決定する目的で本年度は以下の実績がえられた。 1)イネ培養細胞より得られた常温性αアミラーゼ(アミラーゼI)のcDNAクローン(YamyI)と低温性αアミラーゼ(アミラーゼIII)のcDNAクローン(YAmyIII)のキメラ遺伝子を作製し酵母(Saccharomyces cerevisiae)にて発現をこころみた。アミラーゼIの性質をもつキメラタンパク質はYamyIとYamyIIIの4カ所の非相同領域を組み換えたもので、それぞれ、1333, 1133, 1113, 3111, 3311, 3331の6種類をつくりその酵素化学的性質を調べた結果、1113, 3111, 3311はアミラーゼIの性質、1333, 1133,3331はアミラーゼIIIの性質を示した。この結果より上記4カ所の非相同領域のうち3番目の領域が、アミラーゼI,IIIの性質を支配する領域であることが確かめられた。 2)キメラ遺伝子の大腸菌をつかった発現系の構築 酵母発現系ではアミラーゼIIIの性質を示すキメラタンパク質の発現量が極端に少なく、酵素の精製に支障をきたすことから、大腸菌での発現を試みた。その結果アミラーゼIIIを示したキメラタンパク質は発現量は少ないものの、酵母の系よりはかなり改良された。
|