本研究においては、好熱好気性水素細菌Hydrogenobacter thermophilus TK-6株において還元的TCAサイクルが機能していることを証明するとともに同サイクルに関する生化学・遺伝学的知見を深めることを目的としている。本年度においては、研究実施計画で述べた内容がほぼ全て達成された。 1.各種クロマト的手法を用いてフェレドキシンを精製し、生化学的特徴付けを行った。 2.各種クロマト的手法を用いてピルビン酸シンターゼを精製し、特徴付けを行った。 3.α-KG(ピルビン酸)シンターゼとフェレドキシンとの反応性を調べた。 (1)α-KG(ピルビン酸)デヒドロゲナーゼ方向での反応性 基質としてα-KG(ピルビン酸)、CoA、酸化型フェレドキシンを用い、400nm付近の吸光度の減少からフェレドキシンが還元されることを見出した。 (2)α-KG(ピルビン酸)シンターゼ方向での反応性 基質としてコハク酸(クエン酸)、NaH^<14>CO_3、及び還元型フェレドキシンを用い、CoA化合物生成のためのごく少量の無細胞抽出液存在下反応を行わせ、反応産物をTLCで分離分析することによりα-KG(ピルビン酸)を検出した。
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