本研究はヘテロトロフの亜硝酸酸化酵素系について生化学的、分子生物学的に明らかにし、これよりオートトロフの酸化能との関係の見直しを行うことを目的とした。 まず、比較的亜硝酸酸化活性の強いBacillus badiusI-73より亜硝酸酸化酵素を精製しそのN末端アミノ酸配列23残基を決定した。これより推定されるDNAオリゴヌクレオチド混合物を設計、有機合成し、酵素法によりディゴキシゲニンを標識した。これをプローブとして各種条件でサザンハイブリダイゼーションを試みたところ、HindIIIで消化した染色体DNAと50度Cで約6.4kbpの断片と特異的にハイブリダイズすることがわかった。そこで、染色体DNAのHindIII消化断片を電気泳動後、当該分子量部分を抽出し、別にHindIII及びフォスファターゼ処理したpUC18プラスミドベクターとライゲンーションし、E.coliJM109を形質転換してライブラリーを作製した。コロニーハイブリダイゼーションの結果、陽性を示し約6kbpのHindIII挿入キメラプラスミドを保有するクローン6株を得た。現在これらを解析中である。 これとは別に、活性汚泥や土壌中などの混合微生物系で本菌を追跡するために、染色体DNAより16SrRNA約1.5kbpを遺伝子増幅し精製後、pUC18との平滑末端ライゲーション法により大腸菌にクローン化した。その部分配列をRDPデータベース上で解析する事により、本菌がB.badius ATCC14574などと比較的相同性が高く、さらに解析することにより特異的検出のためのプローブが設計できる可能性を見いだした。
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