花色素アントシアニンはin vitroでpHの変化によりれのくてきに色が変わる。多彩でかつ、微妙な花色発現の原因の一つが、細胞内で色素の存在する液胞pHの違いであろうと推定できる。本研究では、細胞内微小電極法による生きた色素の存在する液胞pHの直接測定法を開発確立し、花色と液胞pHの相関を適量的に明らかにすることを目的に行った。 1.細胞内微小pH電極の作成 高等植物用の電気生理実験台を構築した。様々な計上の細胞内微小pH電極を作成してその応答を比較し、花弁用の電極の最適化を行った。 2.空色西洋アサガオの花色変化機構 空色西洋アサガオ(Ipomeoes tricolor)の花弁液胞pH(pHv)の細胞内微小pH電極による直接測定により、赤紫色の蕾のpHvは6.6で青色花弁のpHvは7.6であることがわかった。開花に伴う花色変化が液胞pHの特異な上昇によることが明らかになったので、この機構の解明を目的に、着色細胞のみを花弁からプロトプラスト化する条件を検討した。ツボミ、開花花弁、さらに萎んだ花弁のいずれについても、生花弁100g単位を処理できる条件が確立でき、95%以上の純度で着色したプロトプラストを得ることができるようになった。このプロトプラストから液細膜を調製し、膜上のプロトンポンプを免疫ブロットにより調べた。蕾と開花花弁の液胞膜ではH^+-ATPaseとH^+-PPase量には殆ど違いはなかった。萎んだ花弁では、ほとんどポンプタンパクが分解していた。蕾と開花花弁で液胞膜のプロトン透過性にもほとんど違いはなく、いずれもH^+-ATPase活性の方がH^+-PPaseよりも活性が高く高いことが分かった。
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