研究概要 |
1.キャベツ抽出物による担癌時高脂血症改善機構の解析と有効成分の同定 (1)実験1:腹水肝癌AH109A移植ラットに20%カゼイン食(20C),20C^+キャベツ抽出物凍結乾燥物を2週間摂取させた.また正常ラットに20Cを同様に摂取させる群も設けた.(2)実験2:肝癌移植ラットに20C食を摂取させ,水,キャベツ抽出液,またはS-メチルシステインスルフォキシド(SMCS)をゾンデで1日1回合計14回経口投与した.いずれも屠殺後,血清脂質レベルおよび各種脂質代謝関連パラメータを測定した.投与法によらず,キャベツ抽出物は肝癌移植により上昇する血清総コレステロール(Ch)および超低密度+低密度リポタンパク質-Ch濃度を低下させた.キャベツ抽出物のこの効果は,宿主肝臓でのChから胆汁酸への変換亢進に基づくステロイド排泄増加によること,抽出物中の有効成分の一つはSMCSであることが明らかとなった. 2.キャベツ抽出物単独またはリポ多糖との併用による癌増殖抑制効果の検討 現在,適切な実験条件を検討中である.検討終了次第,実行の予定である. 3.キャベツ抽出物による腫瘍壊死因子(TNF)-_α産生刺激機構の解析 ラットより採取した腹腔マクロファージおよび脾臓細胞を使用し,TNF-_α産生に対するキャベツ抽出液の作用を解析した.脾臓細胞系ではキャベツ抽出液により濃度依存的にTNF-_α産生能が上昇し,その産生量はインターフェロン-_γを作用させた際の値に匹敵した.しかし,腹腔マクロファージではTNF-_α産生能の上昇は見られず,キャベツ抽出液の作用はマクロファージに対する直接作用ではないことが明らかとなった.脾臓細胞にキャベツ抽出液を作用させた培養上清を腹腔マクロファージ系に作用させたところ,TNF-_α産生能の上昇が認められた.このことから,キャベツ抽出液により,マクロファージを刺激する因子が脾臓細胞系で産生または活性化されることが示唆された.
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