研究概要 |
シイタケの血漿コレステロール低下作用をリン脂質代謝との関連で検討し、以下の成績を得た。 (1)(a)エリタデニンの効果のdose-dependency:25%カゼイン食(コントロール食)およびこれにエリタデニンを段階的に添加(2,4,6,10,20,ppm)した食餌をラットに2週間投与したのち解剖した。血漿や肝臓中の各脂質濃度を測定するとともに、肝臓ミクロソームおよび血漿からTLOによりPCを分離し、GLOにより脂肪酸組成をまたHPLOにより分子種組成を測定した。エリタデニンによる血漿コレステロール濃度の低下は肝ミクロソームのPC/PE比、血漿PCのリノール酸/アラキドン酸比あるいは血漿の特定のPC分子種の割合と高い相関を示し、これらのパラメータが相互に関連していることが示唆された。また、エリタデニンは肝ミクロソームのΔ6-不飽和化酵素活性を顕著に低下させることによりリノール酸代謝を抑制することが判明した。 (b)エリタデニンの効果のtime-dependency:48匹のラットにコントロール食を2週間投与したのち、一部のラットはエリタデニン添加(50ppm)食投与に切り換え1,2,3,5日後に解剖し、(a)と同様な項目について分析を行った。その結果、エリタデニンによる脂質代謝の変化の順序はリン脂質クラスの変化、次いで脂肪酸代謝の変化、最後にコレステロール代謝の変化であることが判明した。 (2)エリタデニンの効果と外因性コレステロールの有無:ラットの場合、コレステロール代謝の様相は外因性(食餌性)コレステロールの有無により大きく異なり、血漿コレステロール濃度の制御機構も異なる。そこで、食餌にコレステロールを添加しない条件下と添加(コレステロール0.5%_+コール酸ナトリウム0.125%)した条件下でコレステロールおよびリン脂質代謝に及ぼす影響を(1)の場合と同様に詳しく調べた。その結果、外因性コレステロールの有無に拘わらずエリタデニンの効果にリン脂質代謝及び脂肪酸代謝の変化が関与することが明確にされた。
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