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1998 年度 実績報告書

甘味タンパク質の甘味活性発現機構

研究課題

研究課題/領域番号 08660156
研究機関京都大学

研究代表者

北畠 直文  京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (30135610)

キーワード甘味タンパク質 / ソーマチン / 化学修飾 / ジスルフィド交換反応 / β脱離反応
研究概要

ソーマチンはショ糖に比べてモル比で約十万倍の強い甘味を示すタンパク質であり、その甘味は特有で、持続性を示す。化学修飾法を用いて、甘味活性発現に関与するリジン残基の役割、ならびにそれらの空間的配置、ならびに相互の関連について検討を行った。ソーマチンは極めで等電点の高い塩基性タンパク質である。ソーマチン以外に幾つかの甘味タンパク質が知られているが、その多くは塩基性タンパク質である。したがって、塩基性であることが甘味発現と直接的に関連するのではないかとの考えがある。しかし等電点の低いタンパク質において甘味を示すタンパク質も報告されており、この問題は結論に至っていない。本研究の結果では、リジン残基をピリドキサールリン酸で修飾し、修飾に伴う甘味活性の変化を調べ、修飾位置を明らかにして、上記の問題を検討した。これらは、学会口頭発表は行い、論文投稿準備中である。
また、研究の過程において、ソーマチンの熱安定性が加熱時のタンパク質濃度に依存することを見い出し、その原因究明をおこなった。ソーマチンはタンパク質であるので熱処理をすると失活する。しかし低濃度で加熱すると熱安定性が増し、その安定性は加熱時のタンパク質濃度に依存することを見い出した。さらに加熱時の失活がタンパク質分子の凝集によることが判明し、その分子間相互作用の機構についても検討を進め、以下の結果を得た。
(1) pH7.0で、70℃以上でソーマチンが凝集体を形成することを明らかにした。
(2) ソーマチンの加熱凝集は主に分子間ジスルフィド結合の形成によってもたらされる。
(3) 凝集過程はチオール触媒の分子間ジスルフィド交換反応である。
(4) ジスルフィド交換反応はジスルフィド結合のβ脱離反応によって生じる遊離のチオール基により触媒される。遊離のチオール基を持たないタンパク質分子間の分子間ジスルフィド結合はpH7.0での加熱により生成し、これがタンパク質の凝集をもたらす。
本研究は、論文投稿中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kitabatake,N: "Digestibility of Bovine Milk Whey Protein and β-Lactoglobulin in Vitro and in Vivo" J.Aaric.Food Chem.46. 4917-4923 (1998)

  • [文献書誌] Kinekawa,Y: "Effects of Salts on the Properties of Sols and Gels Prepared from Whey Protein Isolate and Process Whey Protein" J.Dairy Sci.81. 1532-1544 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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