研究課題/領域番号 |
08660170
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渋谷 正人 北海道大学, 農学部, 助手 (10226194)
|
研究分担者 |
松田 彊 北海道大学, 農学部附属演習林, 教授 (30002075)
高橋 邦秀 北海道大学, 農学部, 教授 (80281707)
|
キーワード | 林内かき起こし / 光環境 / 高木類 / 成長量 / 種子散布型 |
研究概要 |
本年度は、北海道大学中川演習林で調査を行った。当演習林228林班の伐採跡にかき起こしが行われ、6年経過した針広混交林に、およそ面積0.25haの調査区を設定し、上木および更新している高木類稚樹の調査を行った。おもな結果は以下の通りである。 1.本調査地は、上木密度が高く(473本/ha)、林冠うっ閉率が高い(84%)場合の林内かき起こし作業の有効性を検討するために設定した。 2.かき起こし跡地は、林内に5箇所みられたが、かき起こし面積は150m^2以下で小さかった。全更新地を通じて11種の高木類の稚樹がみられた。更新個体数は4〜56本/m^2、平均樹高はは10.4〜37.2cmであり、更新地間でばらつきがあった。また各更新新地の平均相対照度(≒相対PPFD)は12.4〜 9.8%と低かった。更新個体のうち86%が風散布型種子の樹種であったが、樹種数では風散布型種が6種、鳥散布型種が5種であった。更新個体の樹種構成は、周囲の母樹の樹種構成を必ずしも反映せず、これは樹種ごとの更新特性、種子生産の豊凶性、動物による種子の被食などが原因と考えられた。 3.相対照度の頻度分布は、林冠の撹乱がない場合にみられる対数正規型に近かった。ある地点における相対照度は、最近接樹冠からの距離でおおよそ推定できた。しかし、疎開面積が大きい場合に比較すると、樹冠内外での照度は小さく、樹冠周縁で20〜25%、樹冠内5mでは10%程度と推測された。この関係は林分構造などによって影響されることがわかった。 4.比較的暗い環境下でも、かき起こしによる更新促進効果はみられた。しかし、更新個体の成長・生残を考慮すると、上木密度と林冠うっ閉率のコントロールが必要であると結論された。
|