研究概要 |
〈生活史に関する研究〉 東京大学付属演習林田無試験地において定点を設置し、4月〜12月にかけて、4地点200個のピットフォールトラップを常設し、週1回の捕獲を行い、個体数と雌成虫の保有成熟卵数を調査した。この結果オサムシ科昆虫は35種が捕獲でき、個体数の少なかった種を除き、明瞭に春繁殖型(16種)と秋繁殖型(12種)の2つの繁殖タイプに区分できた。同属内でも亜属によって繁殖タイプの異なる場合も2属で認められ、科内の種々の系統内でこの2タイプへの分化が生じていることが確認できた。体内保有卵数もおおよそ亜属単位で大きく異なっていた。 その他、各地で土壌動物全体を対象とした短期間な比較調査を行った。 〈近縁種間関係の現地調査〉 オサムシ科の近縁種どうしが分布を接している地域として長野県天竜川流域を中心に現地調査を行った。アオオサムシとミカワオサムシ、クロナガオサムシとオオクロナガオサムシの2つの組み合わせでの分布調査と形態的な検討から、それぞれ2種の境界は支流とほぼ一致すること、境界の支流付近では交雑をおこしていること、などが確認できた。 〈近縁種間関係に関わる飼育実験〉 アオオオムシとミカワオサムシを中心に種間交配実験を行った。これらは外見的に明瞭な差異があるにもかかわらず、交尾,雑種形成に至った組み合わせもあった。
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