山村の林道開設地域におけるランドスケープとしての森林景観資源の定量的評価を行うには、まず構成要素や属性を尺度化して判別分級する必要がある。本研究では、面画像情報としてオルソフォト空中写真を、地図情報として地形図・埴生図・土地利用図・道路図等をデジタル化した数値地図データを導入して検討した。本年度はまず、モデル地域として三重大学演習林457haを設定し、1、地表属性の主体である森林植生のRGB値による自動判別、2、ピクセルカウント法による対象区域の面積測定、3、数値地形図DTMからの地形情報とオルソ面画情報との重ね合わせ、4、航空写真からのデジタルオルソの直接作成法等について解析した。地表属性主体のRGB値による自動判別結果:・人工林と天然生林で判別精度に大差が認められること、・林齢・地形条件(傾斜、斜面部位、方位)に関係なくスギ人工林では良好な判別結果が得られること、・対象区域が小さいほど誤判別は少ないこと、・6属性区分、86標本地を設けて線形判別関数により判別解析した結果は、全的中率73.26%と概ね良好な結果を得た。ピクセルカウント法による面積測定結果:56個の小林班を対象として、従来のデジタイザによる計測法と提案する本手法との精度を比較した。その結果、両手法による面積測定誤差の平均がわずか1.87%(最大7.0%)と極めて良好な結果を与えることが判明した。地形情報とオルソ画像情報との重ね合わせ:主要な地形情報-傾斜・斜面形・水系・日射量は、PC内でオルソ座標系と双方向的に重ね合わせることができるが、出力方式に改良の余地があることが指摘された。航空写真からのデジタルオルソの直接作成:共一次内挿変換法を導入して、密着航空写真からデジタルオルソを直接作成するプログラム化について検討した。・画像ピクセルとDTM単位間隔の整合性、・解析周辺域での歪みとエッジ効果等の課題が残された。
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