森林レクリエーション需要の増大や、林道の開設目的が多様化する中にあって、山村地域の景観・景域の一部として林道を目にしたり、域内道路の一部として林道を利用する機会が益々増加しつつあり、そのため、林道と森林景観とのかかわり合いについても、地域的な土地利用・環境保全、景観・景域資源管理的側面からの新たな取り組みが求められてきている。 本研究は、林道開設事業と連係した森林地域の景観・景域資源的機能を最大限に発揮させることを目的とし、林道開設地域における地形、植生、日射、水文、流出土砂等の景観環境条件について、航空写真・オルソフォトを用いた簡易型画像処理システムにより解析・評価する手法について考究した。 具体的には、(1)林道開設地域における土地被覆属性の自動判別解析、(2)ピクセルカウント法による面積測定、(3)判別関数を導入した判別構造(正・誤判定)の定量解析、(4)数値地形情報とオルソフォト画面像情報とのリンク法、(5)属性データの重ね合わせによる林道周辺域の立地条件の評価、(6)細部地形特性・土壌情報を追加した林道開設予定地域の土木技術的立地条件の評価、(7)航空写真からのデジタルオルソの自動作成、(8)林道開設に伴う流出土砂の時系列動態特性の把握と景域バッファーゾーンの評価、(9)流域単位による流出土砂の河畔域への影響評価等を課題とし、三重県及び滋賀県内に設定したモデル地域を対象として処理システムの基本部分の構築と応用性について検討した。その結果、上記の各研究課題についてはほぼ満足できる結果が得られたが、ソースデータとしてのデジタルオルソの入出力解像度・データ量、デジタル画像とDTM座標系の重ね合せの整合性の問題等、処理装置としてのPCに関するハード面での制限をクリア-することが本システムを一般化する上で今後の課題となることが明らかとなった。
|