研究概要 |
1.緑地のタイプによる,景観的,生態的特質の差異を検討するため,この地域で問題となっている非旋業竹林を含む残存緑地を対象に実施した。モウソウチクやマダケが針葉樹人工林や天然生二次林に侵入して混交林となった林分や、明らかに生産のための手入れがなされていないと思われるヤブ状の竹林が目立つようになった。福岡県の竹林の推移と現状を農林関係の統計資料から確かめたところ、県の竹林面積は昭和54年以前までは減少したいたが、それ以降は急激に増加し、平成に入ってからはほぼ横這いで今日に至っていると、森林面積における竹林面積率は昭和54年以降増加していることがわかった。 針葉樹人工林への竹類の侵入は、目標とされた生産物であったスギ、ヒノキの生産性からは陽光や養分の面で明らかにマイナスであるし、竹類が二次林に侵入することは、土地条件に応じた自然性の高い樹木に向かう植生遷移を遅らせる要因になると思われた。 2.緑地の用途別価値評価,および居住人口の分布と緑地相互の位置関係を考慮した,緑地の適正配置についての理論を整理し,都市緑地に関する新しい施策である「緑の基本計画」に反映する方法を検討するための作業として、山口県宇部市を対象に実地調査と解析を行った。このなかで、緑地が複数の機能を複合的に発揮していることを踏まえながら各種の緑地の機能を効率よく発揮できる緑地配置を検討し、居住人口の配分と地域特性を勘案した全体としての適正配置を提示する手法を提案した。さらに、現況の緑地分布の評価手法の検討に際して、条件の変化や緑地整備の進捗、あるいは目標水準の変更などに、随時対応できるシステムを開発し、実施計画の策定過程において効果評価のシミュレーションと計画へのフィードバックが可能な手法について検討した。 以上の2件については、日本林学会九州支部大会で報告した。
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