福岡県宗像市および山口県下関市の「緑の基本計画」の策定に関与し、緑地の機能と配置に関して具体的事例で検討した。「緑の基本計画」は、平成6年の都市緑地保全法の一部改正によって新たにもうけられた都市緑地全般に関する計画制度で、従来の「緑のマスタープラン」および「都市緑化推進計画」を包括的にカバーし、公園だけでなく公共施設の緑化、民有地の緑化などに関する事項も含んでいる。計画策定手法としては、〔自然的条件〕、〔社会的条件〕、〔緑の現況や緑化状況〕について現地調査、文献調査、上位計画の検討を行って課題を整理し、各調査項目について緑化行政に関する課題や数値目標等を抜き出して、それらを踏まえて基本構想や基本計画に展開していくのが通例である。 宗像市においては、現況で緑地が不足している場所を抜き出す手法を工夫をして緑の欠損区域を図示し、住民にとっての緑の充足度という観点から緑地整備の計画に活かす手法を提案した。 下関市の計画においては、緑地の配置計画に市民を参加させる手法について検討した。ワークショップを開催し、行政資料からまとめられた現況の特性と課題に、ワークショップで得られた市民の提言を反映させながら基本方針と目標を設定する過程で、植物社会学の分野で群落区分を行うときに用いる組成表操作の技法を応用した。
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