研究概要 |
自動車用化成品部品工場から排出される合成ゴムをチップ化し,これを合板で挾み込んだ木質パネルを作製した。この木質パネルを用いて床面積約35m^2の実験住宅を建設した。木質パネル製作前に面材の外側および内側面に温度センサを埋め込み、建設後の温度の日変化(屋根,壁,床パネル)を冬季に計測した。 断熱性の指標となる外気温の変動に対する室温の変動の比は0.3から0.4となった。内壁面が合板で覆われていることから,湿度変動が少なく,調湿作用が大きかった。室温を18℃に保つための熱収支を試算したところ,約100Mcal/dayとなった。 実験住宅に用いた木質パネルおよびゴムを原型(ウインドウないしはボンネットの水切り用パッキング)のまま利用した5種類のパネルについてJIS A 1412に準じる平板比較法による熱伝導率を測定した。チップ化したゴムを挿入した木質パネルの熱伝導率は約0.1W/m・Kで,軽軟な木材と同等の断熱性を示した。廃棄ゴムを原型のまま利用したパネルでは,伝導率が1.2倍(チューブ状の両端を閉じた場合)から2倍(チューブ状の両端を解放のまま)となり,チップ化した場合に比べて熱断熱性はやや劣った。ゴムを挿入しない面材のみのパネルの熱伝導率は,ゴムチップ挿入パネルの約3倍となり,ゴムチップの断熱効果が認められた。
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