研究課題/領域番号 |
08660203
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安田 征市 名古屋大学, 農学部, 教授 (80002070)
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研究分担者 |
今井 貴規 名古屋大学, 農学部, 助手 (20252281)
福田 忠徳 名古屋大学, 農学部, 助教授 (10023441)
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キーワード | セルロース / ヘミセルロース / リグニン / 樹木 / 細胞壁 / ミクロオートラジオグラフ法 / ラジオトレーサー法 |
研究概要 |
木質化細胞壁は、主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンより構成されていることが知られているが、それらがどのような形成過程を経てできるのか、あるいはどのような3次元構造を有しているのかは完全にはわかっていない。本研究では、これらの課題を解明するため、各種細胞壁成分の構築過程を追跡することに主眼をおいた。まず、放射性同位元素による特定な構造の選択的標識法とミクロオートラジオグラフによる可視化法を用いて、非セルロース系多糖であるヘミセルロースの不均一な堆積過程を動的に解析した。その結果、キシランやマンナンは2次細胞壁セルロースの堆積時期とほぼ同時期に細胞壁内腔側に求心的に堆積することが明らかとなった。また、特定のヘミセルロースが選択的に放射標識された木質化細胞壁試料を用いて、パルプ化に代表される化学反応中での各種多糖の挙動を追跡することにも応用できることをあきらかにした。次に、リグニン前駆物質の供給機構を解明するため、それらの配糖体(モノリグノールグルコシド)の組織・細胞レベルでの分布や季節変動について調べた。その結果、コブシのリグニン形成において、グアイシアシル型のコニフェリン(コニフェリルアルコール-β-D-クリコシド)はその貯蔵物質として機能しているが、シリンギル型のシリンギン(シナピルアルコール-β-D-グルコシド)は、非木化組織に貯蔵されておりリグニン生合成には直接的に関与していないことが示唆された。また、コニフェリンは過剰生産されたモノリグノールの貯蔵形態ではなく、リグニン形成に先立ち、細胞壁分化初期段階で予め生産されていることが明らかとなった。
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