研究概要 |
キャラボク新芽のジベレリン,ジベレリン生産菌の細胞融合,微生物変換により得たジベレリンのキャラボクへの投与の効果について検討した。 1 キャラボク新芽中のジベレリン:キャラボク新芽の抽出物からジベレリンを含む4つのフラクション(Fr)を得た。これらのFrからジベレリン-A_3(GA_3),GA_4と一種のジベレリングルコシルエステルを単離した。 2 細胞融合による基質変換能の高い融合菌の作出:Gibberella fujikuroi IFO 9977菌とIFO 30337菌との細胞融合により、3種の融合菌(F1,F2,F3)を得た。そのうち、F2とF3菌は両親株よりも基質変換能が高く且つ生物活性の高いジベレリンを生産できる融合菌であった。 3 G.fujikuroi IFO 9977菌を用いたカウレンの微生物変換により生成されたジベレリン:G.fujikuroi IFO 9977菌を用いた微生物変換により、5種のジベレリン(GA_3,iso-GA_3,GA_4,GA_7,iso-GA_7)が生成することを見いだした。 4 カウレンの微生物変換により生成したジベレリンの投与によるキャラボクの生育:キャラボクの新芽の下の茎に微生物変換により生成したジベレリンを8日毎に5回投与した。伸長は1週間毎に6回計測した。その結果、微生物変換により生成したジベレリンは、キャラボクの新芽の伸長を無添加のそれに比べ、1.2倍増加させた。また、ジベレリン投与後20週間後に新芽を切取り、メタノールで抽出して、キャラボク中の強力な抗ガン性物質、タキソ-ルの生産量を調べた。その結果、微生物変換により生成したジベレリンはタキソ-ルの生産性を無添加のそれに比べ、1.1倍増加させることを見いだした。
|