研究概要 |
チアミンがシイタケの栄養菌糸成長および子実体形成に及ぼす影響を,チアミンの菌糸体内への取り組みと関連付けながら,ペプトン・グルコース液体培地を用いて検討した。シイタケの子実体形成には少なくとも15 μg/liter 以上のチアミンの添加が必要であり,それ以下では全く形成されないことが分かった。一方,栄養菌糸成長に関しては,約1.5mg〜約1.5μg/literの濃度範囲で検討したが,チアミンの影響は認められなかった。さらに,チアミンを添加していない種々の寒天培地を用いてシイタケの継代培養を繰り返したが,チアミンの欠乏によると思われる栄養菌糸成長の明らかな抑制は見られなかった。しかし,培地中のチアミンは,シイタケの栄養成長期間に当たると思われる培養初期のわずか3週間でそのほぼ全量が培地から菌糸体内へ取り込まれることが明らかとなった。したがって,本研究に用いたシイタケ菌株は子実体形成には比較的高濃度のチアミンを要求するが,栄養世代の菌糸成長のためにはチアミンを要求しないか、仮に必要としても,その要求量はごく微量と考えられた。
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