(1)老化による心身機能の低下とそれを補う木材のアメニティー効果との関係をまとめ、その可能性と意義を整理した。 (2)現在市販されている高齢者対応の商品を類型化し、木材の利用も含め素材の構成、機能、デザインの特徴をまとめた。また、シルバ-対応施設の展示場で最近の製品開発傾向をつかむ。 (3)高齢化にともなう道具、設備のデザインについて、共感デザインの視点から見た新たな設計手法を構築するための糸口を整理し、研究の方向性を整理した。 (4)現在の木材加工技術を整理し、福祉用具への応用展開の可能性を探った。 (1)屋内の歩行、座位、休息姿勢に渡る道具系から、女性高齢者のためのキッチン作業用木製いすをデザインし、モデルを製作し試用評価を行った。木製化の利点が得られた。 (2)手摺りのサンプルを各種集め、素材別手摺りの特徴を分析すると共に、駅などにおける手摺りの種類と表面処理、構成、使用状況調査、温度計測、視力低下を疑似した写真撮影を行い、問題点を探る。また圧縮木材、LVLによる木製化の事例を分析した。 (3)東北・関西の駅の待合室のベンチの素材構成を取材して調査するとともに、木製化事例をを探る。温度計測を行い、プラスチック製品、金属製品との違いを調べた。 (4)食器、テーブル、扉の取っ手、シャワーチェア、訓練用具などのアイデアを展開する。 (5)他で試みられている木製バリアフリー家具の特徴を分析した。 (6)曲げ木による車いすフレームの可能性を視野に入れ、検討を始めた。 (5)高齢化にともなう道具、設備、空間の使いやすさを測るものさしとして、従来の心理アンケートによる段階的評価に加えて、心身に及ぼす負担を歪みとして表す評価手法を構想している。高齢化にともなう道具の木製化による効果の評価に生かされるものと思われる。
|