研究概要 |
酵素処理の対象化合物として、グアイアシル・グルコシドとパラニトロフェニル・グルコシドそれぞれの6位の水酸基に各種のアルキル置換基を持つ誘導体を合成しようとした。また、パラニトロフェニル・セロビオシドの6,6'-ジメチル誘導体の合成も目標とした。6位にアルキル基を入れる方法として、6位にトシル基を入れ、その他の水酸基をエトキシエチルエーテルとして保護した後、トシル基をアルコキシドで置換する方法を試みた。ところが、パラニトロフェニル・グルコシドおよびパラニトロフェニル・セロピオシドのトシル化物は合成できたものの、次のアルコキシド処理の際には、その強いアルカリ性の条件のため、すべての場合にグルコシド結合の開裂の起こることが見いだされた。その結果、目標としたパラニトロフェニル系のグルコシドの合成は断念し、松本はセルロース鎖に沿った置換基分布がメチルセルロースの酵素分解に及ぼす影響についての研究を完成させ、学会誌に投稿中である。石津はグアイアシル系の6位に置換基を持つグルコシドの合成に転じ、この場合にはアグリコンの開裂なしに、目的とした6-0-メチル、6-0-エチル、6-0-ブチル、6-0-イソ・ブチル誘導体を調製することに成功した。これらの誘導体はどれも収量が少なかったので、酵素分解速度の測定を高速液体クロマトグラフィーによって行うことを考え、Asahipak NH2Pをカラムとして分析の条件を検討してきた。現在はまだ発表できる段階には至っていないので、次年度もこの研究を継続して完成させる予定である。
|