研究概要 |
本年度は試料収集に重点をおいて研究を行った.1996年7月24日〜26日,8月21日〜23日,10月14日〜16日の期間,北海道大学調査練習船「うしお丸」を用い,北海道噴火湾海域に設けた計14の調査点において海洋観測並びにプランクトンの採集を行った.各測点では,CTD (Sea-Bird SBE 19)を用い水温・塩分の鉛直分布を調べた.また,表層より水深50mの間を10m間隔で,ニスキン採水器により海水試料(2〜5リッター)を得た.得られた海水試料は目合200μmのネットでマクロプランクトンを取り除き,目合20μmネットでミクロプランクトンを捕集し,中性ホルマリンで固定した(2%,v/v).これら試料は冷蔵保存し,今後の蛍光顕微鏡観察に供する.同時に,栄養塩分析用試料(100ml)及びクロロフィルa濃度測定用試料(200ml)を得た.栄養塩濃度はオートアナライザーによる自動分析,クロロフィルa濃度はN,N-ジメチルホルムアミド抽出による蛍光法で測定した.なお,今後も同様の観測ならびにプランクトン試料採集を行うが,来年度は試料の観察及び解析に重点をおいて研究を行う予定である. 蛍光顕微鏡観察は落射型蛍光顕微鏡下で青励起のもとで行う.出現する渦鞭毛藻類については,種の同定を行うとともに,光合成色素の有無を調べる.青励起のもとでは,光合成色素は赤またはオレンジの自家蛍光を発するので識別は容易である.また,個体の主要サイズを測定し体体積を見積もる.このようにして噴火湾海域に出現する渦鞭毛藻類の種組成,栄養型,及びそれぞれの現存量の分布並びに季節変動について明らかにして行く予定である.本研究で得られた結果は早急に出版するように努力する.
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