研究期間中の野外観測は、北海道大学調査練習船「うしお丸」(1996年7月〜1997年8月)および練習船「北星丸」(1997年10月)、函館水産試験場調査船「金星丸」(1997年9月)を用いて、北海道噴火湾海域に設けた計14の調査点において行われた。各調査点においては、CTDによる水温・塩分の測定を行った。また、表層より水深50mの間の海水試料(2〜5リッター)を、ニスキン採水器を用い、10m間隔で採集した。ここで得られた海水試料を用い、目合200μmのネットでマクロプランクトンを取り除いた後、目合20μmのネットでミクロプランクトンが捕集された。ミクロプランクトン試料は、中性ホルマリンで固定(2%v/v)した後、冷蔵保存し、蛍光顕微鏡による観察試料とした。同時に、栄養塩分析用試料(100ml)及びクロロフィルa濃度測定用試料(200ml)を得た。栄養塩濃度はオートアナライザーによる自動分析、クロロフィルa濃度は、N、N-ジメチルホルムアミドを用い色素を抽出した後、蛍光法で測定した。さらに、ノルパックネットの鉛直曳を行い、大型植物プランクトンを採集した。ネットの枠には小型水深データロガーを装着し、ネットの海水中での挙動を明らかにした。本科学研究費補助金の一部を利用して行われた研究は既に公表されている(小達他、1998;今井他、印刷中)。なお、蛍光顕微鏡によるプランクトンの観察は現在進行中であり、結果がまとまり次第早急に出版するように努力する。
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