【目的】魚類の個体当り代謝量M(生きていくために必要なエネルギー量)と体重Wの間にはM=aW^bのアロメトリーの関係がある。この関係の個体発生を知るために、生きたオオニベNibea japonica仔稚魚の酸素消費量とアンモニア排出量、ならびに細切したスオニベ仔稚魚の酸素消費量を測定した。 【方法】財団法人宮崎県栽培漁業センターで孵化・育成された湿重量0.00025g(孵化直後)〜10g(88日齢)のオオニベ仔稚魚を用いた。生きた魚の酸素消費量を止水式、半止水式あるいは流水式で、アンモニア排出量を比色法で、細切した魚の酸素消費量を検量法で、いずれも20℃で測定した。 【結果】生きたオオニベの単位体重当り酸素消費量M_<in vivo>/W(O_2μl/min/g)は孵化直後(体重0.00025g)から6日齢(0.00038g)までの仔魚前期では体重をあまり変化させずに8.2から19μl/min/gまで日齢と伴に直線的に増大した。仔魚後期以降はM(O_2μl/min/fish)とW(g)の間にはM=aW^bの関係があり、b値は以下の4つの発育段階のどれでも0.76であった。しかしa値は異なり、発育段階が進むにつれて増大した。a値は仔魚後期(0.00056-0.0014g)には2.7、稚魚前期(0.0015-0.007g)には3.4、稚魚中期(0.008-0.08g)には4.1、稚魚後期(0.1-10g)には5.0であった。a値が増大するのは魚の活動度が発育段階が進むにつれて増大するためと考えられる。細切した仔稚魚の酸素消費量と体重の関係ならびに生きた仔稚魚のアンモニア排出速度と体重の関係も、生きた仔稚魚の酸素消費量と体重の関係と同様に、発育段階により異なっていた。
|