1赤腐れ病抵抗性細胞の分離・培養 1998年12月5日に三重県鈴鹿市で赤腐れ病が発生した。養殖スサビノリの感染・壊死した組繊を顕微鏡観察し、菌糸の侵入していない抵抗性の細胞10数個をマイクロマニュピレータを用いて分離した。本細胞は現在、細胞数を増加させるために、ASP12-NTA培地中、16℃、明期10時間、暗期14時間、光強度10μE/m_2/sで通気培養中である。 2抵抗性因子の調査 現在、培養中の抵抗性細胞は、増殖が遅く、抵抗性因子の調査に使用するだけの量が得られていない。そこで、天然に生育し、比較的赤腐れ病に抵抗性が強いことが最近判明したマルバアマノリを、NPM培地を用い、19℃、120μE/m_2/s、11時間明期、13時間暗期で大量に室内培養し、その細胞壁成分を調査した。細胞壁中のマンナン・キシラン含量は2.5%、ポルフィランは12.7%、ポルフィラン中の3-6-アンヒドロ-L-ガラクトース量は13%、エクステンシンは存在しないことが判った。これらの値はスサビノリにおける値とほとんど差がなく、従って、マルバアマノリの赤腐れ病抵抗性は細胞壁成分によるものではなく、他の抵折性因子によるものと考えられた。本結果は、赤腐れ病抵抗性細胞の生体防御反応を解明する上で大いに役立つものと思われる。
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