研究概要 |
1.赤腫れ病抵抗性最近の分離及び抵抗性株の作製 平成8年度に赤腫れ病感染により懐死したスサビノリ組織から、菌糸の進入していない抵抗性の細胞を顕微鏡下でマイクロマニュピレータを用いて分離したが、細胞の増殖が遅かったために、平成9年度も引き続き抵抗性細胞の分離を進めた。得られた細胞をPES培地中、16℃、明期10時間暗期14時間、光強度10μE/m_2/sで静置培養を続けた結果、幼葉体になった。このものは活発に細胞分裂を繰り返し、6ヶ月後に成葉体を得ることができた。 2.抵抗性の確認 得られた抵抗性株と赤腫れ菌遊走子を接触培養し、感染率を著者の開発したモノクローナル抗体を用いて観察した。その結果、対称として用いた赤腫れ病抵抗性のマルバアマノリは10%の、赤腫れ病非抵抗性のスサビノリは90%の感染率であったが、抵抗性株は70%で赤腫れ病抵抗性に一定の改善が認められた。 3.抵抗性因子の調査 平成8年度に引き続き、抵抗性のアルバアマノリ、非抵抗性のスサビノリをNPM培地で19℃、120μE/m_2/s、11時間明期13時間暗期で室内培養し、最近壁多糖中の3,6-アンヒドロガラクトース料を調べた。アルバアマノリは0.0016g/g、スサビノリは0.03g/gであった。2年間にわたる調査の結果、マルバアマノリの赤腫れ病抵抗性は細胞壁成分によるものではないことが明らかになった。
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