1. 赤腐れ病抵抗性株における抵抗性因子の調査 赤腐れ病抵抗性因子の調査のために、スサビノリの赤腐れ病に感染・壊死した組織から菌糸の侵入していない抵抗性の細胞を分離し、PES培地中で16℃、明期10時間暗期14時間、光強度120μE/m^2/sで培養して抵抗性株を作製した。凍結乾燥した抵抗性株から75%熱エタノール抽出により低分子化合物を抽出後、エチルエーテルで脱脂・脱色した。このものを35℃で減圧濃縮して乾固し試料とした。別途スサビノリから抽出したポルフィラン、マンナン、キシランを基質として、ポルフィラン分解細菌、キシラン分解細菌、マンナン分解細菌の酵素反応に及ぼす影響を、還元糖の生成率を指標としてソモジー・ネルソン法で調べた。その結果、抵抗性株の細胞質抽出物は病原菌のポルフィラン、キシラン、マンナン分解反応を阻害せず、むしろ促進することが判った。 2. 抵抗性株の安定的供給の試み 抵抗性株は赤腐れ菌に感染しない細胞から作製できるが、その作製方法は実験室規模のものでは比較的に簡単であるが、大量の抵抗性性株をこの方法では作製することは非常に能率が悪く、事実上不可能である。種々検討の結果、中性胞子の放出による抵抗性株の生産が最も適していると判断し、その方法を検討した。その結果、温度10℃、光強度100μE/m^2/s、8時間明期16時間暗期、培養液を1/5濃度のPES補強海水、培地交換は4日毎とした。本条件下で抵抗性株はさかんに中性胞子を放出し、放出された胞子は無数の幼葉体にすることができた。
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