研究課題/領域番号 |
08660255
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
御木 英昌 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (40041727)
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研究分担者 |
進藤 穣 鹿児島大学, 水産学部, 講師 (30271141)
林 征一 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (80041721)
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キーワード | 魚肉 / 鮮度 / 死後硬直 / ATP / グリコーゲン / レニン / 生理食塩水 / 酸素分圧 |
研究概要 |
即殺魚の鮮度保持効果が高い理由として、即殺により乳酸の蓄積量およびATP消費量が抑制されるからと説明されている。これは、致死後に筋肉中のグリコーゲンが多いほど死後硬直の開始が遅れるか、またはその持続時間が長くなるためと考えられる。人体では、死後に低温で高圧酸素を加圧すれば体内血液の溶存酸素量が増え、臓器の機能保持が可能であることが知られている。そこで、本研究では即殺魚の筋肉硬直の遅延機構を明らかにすることを検討した。 実験では、まず硬直開始点を物理的および化学的に判定することを試みた。次いで、即殺後の内臓除去高張生理食塩水の投与によるレニン活性の増大および加圧処理の各方法によって糖新生またはグリコーゲンの保持が可能かをティラピアおよびウナギを用いて0℃貯蔵で調べた。 その結果、魚筋肉の硬直現象が力学的なレオロジー特性値に加え、生化学的なATPの分解速度から判定できることがわかった。次に、即殺直後に内臓除去した魚体の方が対照区に比べ、ATPの分解が抑制された。この現象は首折れサバでの漁業者の経験と一致したが、再度確認する必要があった。一方、ウナギに3%生理的食塩水を投与しレニン活性の増大による糖新生によって、ATPの分解が抑制され硬直遅延が起きるかを調べた。その結果、生理食塩水を投与後水槽内で放置して60分間後に即殺した場合、魚体の硬直開始が対照(48時間)より21時間延長された。また、即殺直後のグリコーゲン含量も多く、ATPの急激な分解が抑制された。最後に、生きた魚体を加圧タンク内の水中に入れ2.0kg/cm^2の圧力で2時間の加圧処理をした結果、硬直の遅延効果が期待されたが、さらに酸素分圧を上げる必要があった。 以上より、即殺魚の筋肉中でATP含量を保持または生成して死後硬直の遅延化を計るには、グリコーゲンの産生能の維持が重要と考えられた。
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