昨年度実施した調査対象地域(北海道秩父別町、秋田県仙南村、山形県鶴岡市、新潟県魚沼・岩船・佐渡・一般地域)での意向調査結果に基づき、本年度も引き続き同一地域・農家に対して意向調査を実施する予定であったが、1996年秋以降米価の下落が大きかったため、こうした事態に対応した米生産農家の経営対応を探るため、10年度に予定していた面接調査を本年度に早めて実施した。 面接調査は、最も米価下落の著しかった北海道、秋田県、山形県を重点的に実施し、合計22戸からヒヤリングを行った。さらに、各地域のJAについても米の生産及び市場流通対応についても戦略的な概要を聴き取りした。引き続き新潟県内についても実施する予定であったが、97年秋以降、過剰米の発生と米価の暴落、そして大幅な生産調整を含む新たな米政策の登場などによって事態が混沌としたたことや、研究予算の制約等からこれを最終年度に先送りした。上記3地域については、学生の調査協力を得て実施した。 これらの農家調査では、経営の基礎構造と食糧法への経営対応を重点的に行った。結果によれば、米価の下落は農業経営に大きな打撃をもたらしており、こうした事態への経営対応としては、高品質・良食味米生産への地域的関心が急速に高まるとともに、有機栽培などによる差別化への対応もみられた。しかしながら、米の直売傾向は一部の農家を除いてそれほど強くみられず、産地体制の強化によるJA系統を通じた市場戦略に重点がおかれていた。さらに、全般的に複合経営への関心が強まっており、特に園芸作物の導入により収入の目減り分をカバーしようという動きがみられた。
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