平成10年度においては、過去2年間にわたり継続して本調査に協力頂いた新潟県内の米生産者47戸を対象に、これまで実施してきた「食糧法下における米生産者の経営と流通対応に関する意向調査」の項目に「新たな米政策」及び緊急生産調整への対応と評価等の調査項目を加え、第3次の意向調査を実施した。 調査では、新潟県産自主流通米コシヒカリの4区分上場地域より33戸の回答を得たので、この結果を集計すると共に、当該生産者の既往3ヶ年の回答結果として一覧表に作表し、食糧法施行後の意向と経営対応の動きを探った。 その結果、全体的に食糧法の評価は高まらず、経営的な影響も「マイナス」傾向が強まっていることが明らかになった。食糧法後の米販売は約60%が「減少」しており、販売環境の厳しさから安定した販路として「JAだけ」への出荷が大きく増加する傾向にある。食糧法が地域農業に及ぼしている影響に関しては、前年度まで「米直売農家の増加」「混迷の強まり」「JAの販売活動の活発化」「農地・作業委託の増加」などがみられていたが、今回は「農地・作業委託の増加」「生産の組織化」などが上位に指摘され、米直売傾向がかなり後退するなど、全体的な対応は落ち着きつつあることが示唆された。また、情勢変化に対応した経営戦略の実践については、必要性を痛感しつつ「まだ対応はしていない」という生産者が依然2/3を占めており、変化への対応の難しさを示す結果となった。 今後の戦略的な経営展開に当たっては、経営規模の拡大、生産技術の高度化、コスト低減、経営分析の重視等が上位に指摘され、本格的な市場競争の強化に備えるべき事が明らかになった。
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